世の中を動かすのは起業家だ
会員数8,500万人超、国内グループサービスの年間流通総額4兆円。インターネット分野において、株式時価総額で世界トップ10入り(2013年7月末時点)。三木谷浩史氏は、約15年で巨大な楽天グループを築きあげた。そして、2012年6月に発足した、eビジネス・ITビジネスを行う企業を中心とした経済団体「新経済連盟(楽天やサイバーエージェントなど、eビジネス・ITビジネスを行う企業群が中心として参加する経済団体(一般社団法人)。政策提言などを通じて、「イノベーション」「アントレプレナーシップ」「グローバリゼーション」の3つを軸にあらゆる産業分野での成長戦略の実現、公正な競争環境の実現などを目指している。)※以下、新経連」の代表理事に就任。新しい産業界のリーダーとして、活発な政策提言を行っている。今回は同氏の単独インタビューに成功。起業家としての原点、ベンチャー企業が成長を果たす条件、新経連を旗揚げした理由などについて聞いた。
※下記はベンチャー通信54号(2013年10月号)から抜粋し、記事は取材時のも のです。
― 起業家・三木谷浩史の自己形成に影響を与えた経験を教えてください。
最初の転換期は、海外で過ごした小学校時代。父親の仕事の関係で、7歳から9歳までアメリカにいたんです。その2年あまりで、なにをするにしても意味をつねに考えるクセがつきました。勉強にしろ、スポーツにしろ、自分が納得したことしかやらない性格になりましたね。
もうひとつ身についたのは、オリジナリティ。たとえば、算数で公式を丸暗記して答えを出すのではなく、自分で解き方を考えていました。
― リーダーシップの原点はありますか。
大学3・4年次にテニス部のキャプテンを務めた経験が大きかったですね。この時期に、人間性が少し変わったかもしれません。
リーダーシップの原点といえるかわかりませんが、たとえば長年続いていた新入生の球拾いをやめさせました。いくらボールを拾っても、テニスがうまくなりっこない。先輩・後輩に関係なく、各自で拾えばいいんです。そういうムダなことを改善していましたね。
― 学生時代から起業を目指していたのですか。
私は1965年生まれ。いわゆるバブル世代なので、大学を卒業して銀行に入ることになんの疑問もなかった。社会人になってアメリカに留学するまで、起業しようなんて一度も考えたことがないんです。
おはずかしい話ですが、「ベンチャー」や「アントレプレナーシップ(起業家精神)」という言葉すら知らなかった。ハーバード大学の授業で「entrepreneurship」という単語が読めなかったくらいです(笑)。